企業変革に王道はありません。
変革サイクルを地道に回すことが必要ですが、一方で頑張るだけの精神論だけでは成果を得ることができないのも事実です。
変革を進めるうえで、計画作りはその第一ステップになります。
ここで大事なことは、下記の3つです。成功体験が強烈な企業ほど「なぜ」を明確にすることが必要になります。また、「何を」を考えるときに、徹底的に顧客の立場になれるか否かがが変革が成功するか否かのカギを握ります。
1. 「なぜ」「何を」「いつ」「どこで」「誰が」「どのように」変革していくのかを明確にすること
「なぜ」: 成功している変革では、その組織のリーダー層特に中間リーダー層が変革の必要性を実感していました。また、チーム全員が「なぜ」を理解していることで、変革現場でたびたび遭遇する課題への対応を的確かつ迅速に行うことができるのです。
「何を」: 成功している変革では、その内容を考えるときに、「顧客」の視点で行なっています。これによって、市場に受け入れられる=成功する変革になるのです。
「誰が」: 成功している変革では、アクションプランが明確にされており、それぞれのタスクの責任者が明確にされています。
変革は一人の力では成し遂げられませんが、一方でチーム全員がそれぞれの役割を果たさないと変革への大きなモメンタムを得ることはできないのです。
左図は、6つの要素と次にあげる、顧客のうれしい事を明確にし、参加者全員で腹落ちレベルまで共有しながら変革のアクションプランを策定する際のステップ例です。
2.顧客の「うれしい事」は何なのかを徹底的に分析して、それを実現する内容にすること
顧客の「うれしい事」: 成功している変革は、市場で受け入れられ、競合相手に打ち勝っています。そのためには、変革内容を決める際に徹底的に顧客の「うれしい事」=市場のニーズを洗いだし、自社と他社の強み・弱みを考慮した上でどんなサービス・製品で勝負するのかを取捨選択することが必要なのです。
左図は、短期間で顧客のうれしい事を洗い出し、参加者全員が納得する事を目的とした、ワークショップアジェンダ例です
3.推進する際のリスク(内部、外部含め)に対する備えを十分にしておくこと
リスク: 成功している変革では、自分たちが思い描いた未来を現実のものとしています。これを実現するには、日常業務とは別なプロジェクト(PJ)又は、プログラム(PGM)を構成して推進する必要があります。
PJ/PGMを上手に推進するためには、作業を洗い出し、スケジュールを明確にすると共に、内在している推進阻害リスクへどのように対応していくかの管理が必要になります。例えば次のようなリスクがあります。
内部リスク(例): 変革を推進するのは人ですが、阻害するのも人です。特に成功体験が強く・長かった組織では、変革の必要性を肌身にしみて感じている人はごく少数になりがちです。客観的なデータを提示し、危機感を持ってもらうことが必要になります。
外部リスク(例): 新しいビジネスモデルを立ち上げる。これが変革の典型的な例ですが、新しいビジネスモデルが既存の販売チャネルの競合になることは珍しくありません。闇雲に新しい事をするリスクを否定するのではなく、やらない事のリスクと新しい事をするリスクを客観的に比較分析する事で対応します。
企業を変革させ良い結果を出す - 変革の考え方と手法
変革サイクル